コラムCOLUMN

2025.11.12
【対談】未来を育てる人材育成とライフプランニングの共通点|吉田保育園・小倉園長 × 一期コンサルティング
【対談】未来を育てる人材育成とライフプランニングの共通点|吉田保育園・小倉園長 × 一期コンサルティング

0. はじめに

「質の高い保育は、質の高い人材から生まれる」――その言葉通り、保育の現場では今、先生たちのキャリア形成やライフプランの支援が大きなテーマとなっています。

今回は、栃木県下野市にある吉田保育園の園長・小倉先生に、保育士の人材育成の在り方や、金融教育とライフプラン支援の取り組みについてお話を伺いました。インタビューの中で見えてきたのは、「子どもを育てる力」と「自分の人生を設計する力」は、実は同じ根っこから育つということ。

子どもたちの未来を支える教育者が、どのように自身の人生設計と向き合い、園としてどう支援しているのか。保育業界で人材定着や組織マネジメントに課題を感じている方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

1. インタビュー概要

  • 取材先:学校法人愛泉学園 吉田保育園 様
  • 登壇者:吉田保育園 園長 小倉庸寛先生
  • 聞き手:一期コンサルティング 代表取締役 FP 船田勝太
  • 対談テーマ:「未来を育てる人材育成とライフプランニングの共通点」
  • 主なトピック
    • 保育士のキャリア形成と教育方針
    • 金融教育やライフプラン支援の必要性
    • 金融教育が職員定着率に与える影響
    • 子どもたちへの「生きる力」の教育との接続

2. インタビュー本編

2.1 従業員教育について

Q(船田):保育園という組織で働く従業員の教育について、どんな方針を大切にされていますか?

A(小倉先生)
保育の「質」は、保育者の「質」で決まります。以前は待機児童問題などで人手確保が最優先でしたが、今は少子化の影響で先生にも余裕ができ、「教育の質」向上が求められる時代です。研修を通じて知識を深め、子どもたちへの対応力を高めることで、保育者自身の処遇改善にもつながります。

また、「なぜこの行事をするのか」「何を育てたいのか」を先生自身がねらいとか意図がなければ意味がありません。それらを理解しているかが、教育の“質”となります。保育園は「教育」と「経営」の両輪が必要です。良い教育・保育をしていれば、保護者の口コミで自然と選ばれる園になると信じて活動しております。

2.2 金融教育について

Q:従業員にとって「お金」や「ライフプラン」を考える機会は、どのくらいあると感じますか?

A
賞与の時期や年度切り替え時などで考える人は多いですが、結婚しているかどうかでも頻度は変わります。既婚者は毎月のように家計を考えているかと思います。

Q:金融リテラシーの必要性を感じたきっかけは?

A
4〜5年前に一期コンサルティングのFPさんと出会い、「これだ!」と腑に落ちました。ちょうど補助金が入り、先生たちの給料が上がるタイミング。でも「上がったからすぐ使う」ではダメ。従業員に「どうしたら良いのか」や「どう伝えれば良いのか」を悩んでいる時期でした。また、業界的にも今後青天井で給料が増え続けるということは考えづらく、自分自身の資産を守り、運用していくための知識が不可欠だと感じていました。目の前の業務に追われる日々の中でも、将来に備える力を従業員一人ひとりが持つことが、組織としての安定や成長にもつながると考えていたのです。

Q:実際に金融セミナーを導入されて、変化はありましたか?

A
先生たちの意識が大きく変わりました。お金の使い方に関しても、自分ごととして考えられるようになったと思います。セミナーの講師が良かったのでしょう(笑)

2.3 ライフプランの支援・意義

Q:保育士がライフイベントに直面する際、園として支援できることは?

A
給料や(手当)の整備が大きいですね。ただし、財源や制度的な根拠がなければ実現は難しい。扶養手当や住宅手当も充実させていきたいと考えています。

Q:先生ご自身がライフプランを描いておいて良かったと感じた経験は?

A
子どもの学資保険ですね。当時は「こんなお金があれば…」と思うこともありましたが、将来のために早くから備えておいてよかったと感じています。

2.4 金融教育と人材定着の関係

Q:金融教育やライフプラン支援が職員の安心感・定着率に影響すると思いますか?

A
大きく影響します。働きやすい職場とは、お金の問題だけではなく、人間関係やマネジメントの整った環境があってこそ。また、「お金の話」は以前はタブーでしたが、今は変わってきています。知っていることで、将来の不安を減らせると実感しています。

Q:今後、園として「職員の人生設計を支える」取り組みをどう進めていきたいですか?

A
退職金年金制度の導入をできるだけ早く進めたいと考えています。

2.5 まとめ:人生を設計する力と“生きる力”

Q:働く人すべてにとって「自分の人生を設計する」ことの意義とは?

A
子どもが幼少期に“生きる力”――「これはやっていい・ダメ」「失敗した・改善しよう」といった基本的な判断力をしっかりと身につけることができれば、大人になってからお金の使い方を間違えることはないと思います。だからこそ、子どもたちの幼児教育こそが、将来の人生設計の土台をつくると信じています。この想いを持って、これからも丁寧に子どもたちに向き合い続けていきたいです。

卒園した子どもたちが、それぞれの人生の中で幸せに生きていってくれたら、私にとってそれが何よりの幸せです。

実際、大人になれば誰もが「これ、買えないな」など、お金の問題に直面することは避けられません。だからこそ、自ら考える力、判断できる力を小さいうちから育むことがとても大切だと感じています。

キッズマネースクールも、最初はまだ早いような印象があるかもしれませんが、やってみると本当に「やってよかった」と思える学びです。“知っている”ことは、それだけで力になります。知らないよりも知っている方が強いし、社会に出たときに必ず差が出ると感じています。キッズマネースクールを通じて、子どもたちにも「生き抜く力」を少しでも届けられたら嬉しいですね。

3. おわりに|“保育×金融教育”という新たな視点を

保育という現場において、先生自身の「人生設計」や「金融リテラシー」がいかに重要か。小倉先生の言葉から、それは子どもたちに“生きる力”を教える根幹にもつながることが分かります。

人材育成、職員の定着、保育の質の向上――そのすべての土台にあるのが「人生と向き合う力」なのかもしれません。

取材にご協力いただいた小倉先生、吉田保育園の皆さま、誠にありがとうございました。

 

<小倉園長先生プロフィール>

大学卒業後、3年間営業職として民間企業に勤務。「人に喜ばれる仕事がしたい」との思いから、実家の幼稚園に携わるように。子どもたちと過ごす中でやりがいを感じ、教育の道を志して大学に再入学し、資格を取得。現在は、園児一人ひとりの成長に寄り添いながら日々保育にあたっている。趣味はサッカー、バスケットボールなどのスポーツ観戦。小さい頃の夢はパン屋さん。

 

【FPに相談してみませんか?】

一期コンサルティングでは、従業員様のための金融教育セミナーや個別相談の導入支援を行っております。

✅ 従業員のライフプラン支援を検討している
✅ 離職率を下げたい/定着率を高めたい
✅ お金の不安を抱える職員をサポートしたい

そんなお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
▼無料相談・お問い合わせはこちらから▼
👉 [一期コンサルティング お問い合わせフォーム]