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はじめに:金(ゴールド)投資が再注目されている理由
昨今の世界的なインフレや株価高騰を背景に、「金(ゴールド)」への投資に注目が集まっています。ニュースで金価格の高騰を目にし、「今から始めても遅くないの?」「どんなリスクがあるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、金投資の基礎から、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点による向き合い方、そして初心者が陥りがちな注意点まで丁寧に解説します。
1. そもそも「金投資」とは?

金投資とは、金(ゴールド)そのものを対象にした資産運用手段です。主な投資方法としては以下のようなものがあります。
●現物購入(地金・コイン):金の延べ棒や金貨などを直接購入・保管
●純金積立:毎月一定額を積立購入
●金ETF・投資信託:証券口座で金価格に連動する金融商品を購入
●先物取引:上級者向けのハイリスク取引
金は株式や債券とは異なり、配当や利息は生まれませんが、「有事の金」とも呼ばれるように、不安定な経済情勢において価値を維持しやすい資産とされています。
2. なぜ今「金」が人気なのか?
2020年代に入り、金価格は大きく上昇しています。その背景には以下のような要因があります。
●世界的なインフレ:通貨の価値が下がると、相対的に金の価値が上がる
●地政学リスクの高まり:戦争・紛争・感染症など
●円安・ドル高の進行:輸入物価の上昇と連動しやすい
加えて、近年は米国の財政不安や経済制裁リスクへの備えとして、各国で「ドル離れ(de-dollarization)」の動きが進んでいます。これにより、ドルの代替資産として金の保有ニーズが高まり、ドル建ての金価格自体が上昇する傾向も見られます。こうした世界的な動きも、日本国内の金価格に間接的な影響を与えている点には注目が必要です。
本来、金は“経済が停滞している時”に上がるのがセオリーですが、現在は“景気が活発な中でも上がっている”という、予測が難しい局面にあります。
そのため、短期の値動きに一喜一憂するよりも、「どうして金に投資するのか?」という目的を明確にすることが重要です。
3. 金投資のメリットとデメリット

メリット
●インフレ・円安に強い
●実物資産としての信頼性
●価格が比較的安定しやすい
●ポートフォリオのリスク分散になる
デメリット
●利息・配当がつかない
●保管コストや盗難リスク(現物の場合)
●価格が高騰している時期の投資は割高感あり
●長期的に見てリターンが限定的 (株式や不動産などの「成長資産」と比較すると、一般的には長期的なリターンが限定的になる傾向)
4. 金投資は“必須”ではない。目的とライフプランが先にあるべき
金投資は、万能ではありません。「金を買えば安心」という幻想に頼るのではなく、「自分の資産形成の中で、なぜ金なのか?」を問い直すことが大切です。
資産形成の基本は“早く始めて長く持つ”長期・分散投資です。金はその中の一つの選択肢ですが、必ずしもご自身のライフプランに合った資産とは限りません。自分のライフプランに合ったポートフォリオで資産形成を行っていく必要があります。
たとえば、金は配当を生まないので、老後資金など“定期的な収入”を期待する目的とは相性が悪いかもしれません。
5. 初心者が金投資を始めるには?ステップ別ガイド

ステップ1:目的を明確にする
まずは、「なぜ金に投資したいのか?」という目的を明確にしましょう。
たとえば、
●「将来の資産防衛のため」
●「現金のインフレ対策として」
●「万が一に備えた資産の分散先として」
といったように、目的によって選ぶ金投資の手法や比率も変わります。
ステップ2:少額から始める
いきなり高額な金の延べ棒を買う必要はありません。
初心者にとっては、
●毎月一定額を積み立てられる「純金積立」
●証券口座から購入できる「金ETF」
といった手段が現実的で、始めやすい選択肢です。
一方で、現物(金貨や延べ棒)を保有する場合は、保管コストや盗難リスクへの配慮も必要なため、ある程度投資に慣れてから検討するのがよいでしょう。
ステップ3:他の資産とバランスを取る
金は「無配当資産」であり、価格が上がらない限り利益は得られません。そのため、
●株式(成長性)
●債券(安定性)
●現金(流動性)
などとバランスよく組み合わせてポートフォリオ全体としてリスクを分散させるのが鉄則です。
▶ 補足:プロの力も活用しよう
とはいえ、「自分にとって最適な資産の配分がわからない」「将来のライフプランに合わせて投資を考えたい」という方も多いはず。
そういった場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)などのプロに相談することで、自分に合った投資戦略が見えてくることがあります。
特に、金投資を含めた資産形成を長期的に考えるなら、ライフステージや家計の状況に応じて第三者の視点を取り入れることは大きな意味があります。
6. FPの視点から:金投資は“手段の一つ”に過ぎない
一期コンサルティングでは、「金投資をすべきかどうか」だけを論じるのではなく、
「資産形成全体をどう設計するか」という大局的な視点を重視しています。
経済情勢に振り回されるのではなく、生活や人生の優先事項に合わせた資産戦略が重要です。
「どの商品に投資すべきか」という商品選定から入るのではなく、
「自分はどのように生きたいのか」「どんな未来を実現したいのか」――そうしたライフプランをまず描くことが先だと考えています。
株、債券、不動産、保険、そして金。選択肢は豊富にありますが、
その中から「自分にとって意味のある使い方」を見出すことが、人生とお金を結びつける本質です。
7. まとめ:金投資をきっかけに、資産形成全体を見直そう
●金はインフレ・有事に強い資産
●ただし、配当なし・保管コストなど注意点も
●投資の“目的”を見失わないことが最も重要
●ポートフォリオ全体を見直す良い機会になる
●金に限らず、気になったタイミングでFPに相談を
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【監修者情報】

[監修者名] (株)一期コンサルティング ファイナンシャルプランナー 船田勝太
[資格] AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャルプランニング技能士/公的保険アドバイザー/住宅ロ-ンアドバイザー
[経歴]
2014年~東京海上日動火災保険(株)
2017年~(株)一期コンサルティング
[専門分野] ライフプランニング/住宅資金相談/資産運用/保険相談
※ 注意
この記事は、一般的な情報を提供することを目的としており、特定の商品やサービスを推奨するものではありません。
個別の状況については、専門家にご相談ください。



