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「持家か、賃貸か」。このテーマは昔から議論が尽きません。
ネットには“持家派”、“賃貸派”の強い主張が溢れていますが、私たち一期コンサルティングの結論はシンプルです。
最終的には、その人次第。どちらでも「正解」になり得ます。
ただし、同じ選択でも“条件”によっては将来の負担が大きく変わります。だからこそ大切なのは、世間の答えではなく、自分の人生にとって後悔しない判断基準を持つことです。
この記事では、FPの視点から「持家/賃貸」の判断を、できるだけ具体的に整理します。ポイントは、持家か賃貸かを二択で決めることではなく、生活設計(ライフプラン)とお金の使い方が噛み合う形に整えることです。
まず押さえたい前提:持家vs賃貸は「目的」で決める
持家か賃貸かは、損得だけで決め切れる話ではありません。
たとえば「マイホームは夢」という価値観も立派な判断軸ですし、「身軽さを優先したい」という考えも同じくらい合理的です。
大切なのは、次の問いから始めることです。
- どんな暮らしを続けたいか
- どこに住み続けたいか(住む場所への愛着はあるか)
- 家族構成はどう変わりそうか
- 将来の働き方(転勤・転職・独立)にどれくらい変化があるか
- 住まいに“資産性”を求めるのか、“安定”を求めるのか
この整理がないまま「周りが買っているから」「家賃がもったいないから」で動くと、後で選択の理由が揺らぎやすくなります。
賃貸が向きやすい人:独身・転勤が多い・土地に縛られたくない

賃貸の強みは、なんといっても柔軟性です。
たとえば、
- 独身で今後の住む場所が流動的
- 転勤が多い/異動の可能性が高い
- その地域に強いゆかりや愛着がない
こうした場合は、賃貸の方が合理的になりやすいでしょう。
企業勤めの方であれば、家賃補助が出るケースもあります。家賃補助があるなら、住居コストの実質負担が下がり、賃貸のメリットがさらに大きくなります。
ここで重要なのは、「賃貸=何もしない」にならないことです。
賃貸は身軽さの反面、“将来の住居”を自動で用意してくれる仕組みではありません。だからこそ、賃貸を選ぶなら、住居以外の部分で将来に備える設計が必要になります。
持家が向きやすい人:家族・学区・“住まいの安定”を重視したい

一方で、家族がいる場合や、これから家族が増える可能性がある場合、住まいに求める条件は変わります。
- 子どもの学区や生活環境を安定させたい
- 家族の拠点を作りたい
- 将来、住む場所を確保しておきたい
こうしたニーズが強いほど、持家は選択肢になりやすいでしょう。
さらに、住宅ローンを組む場合は住宅ローン控除など税制優遇を受けられるケースがあります。
また、住宅ローンには団体信用生命保険(団信)が付くことが一般的です。もしものことがあった場合、ローンが完済扱いになり、家族に住まいを残せる可能性があります。これは“家族の住まいを守る”という意味で、持家の大きな安心材料になり得ます。
ただし、持家は「買ったら終わり」ではありません。購入後も、固定資産税、修繕、メンテナンスなど、住居に関わる支出が続きます。安心を取りにいく選択だからこそ、購入後のキャッシュフローを前提に考える必要があります。
見落としがちな分岐点:地方の戸建ては“資産”になりにくいことがある
持家の話をするとき、つい「家が残る」というイメージが先行します。
しかし、地域によっては、建物(上物)の価値が想定より残りにくいケースがあります。
特に地方の戸建ては、将来的に
- 売却しようとしても買い手がつかない
- 土地の価値しか残らない
- 結果的に処分費用がかかる
といった“出口”の問題が出てくる可能性があります。
家を残すつもりが、家族にとっては「管理や処分の負担」になってしまう。これは住まい選びで見落としやすい論点です。
だからこそ、地方で「持家」を検討する場合は、その家が将来どんな価値で、どう処分できるのかまで含めて考えることが重要です。
「持家=戸建て」だけではない:マンションという選択肢

住まいを“資産”としても考えたい場合、立地の良いマンションは一つの選択肢になります。
人気エリアで需要がある物件であれば、将来、売却や賃貸に回せる可能性があるため、出口の選択肢が広がります。
また、住宅ローンで購入した物件でも、状況によっては賃貸に出すケースもあり得ます(その際は条件変更が必要になることがあります)。
このように、住まいを「住むだけ」で終わらせず、将来の変化に対応できる形にしておく発想は、ライフプランと相性が良い考え方です。
家賃補助が手厚い人は「賃貸×資産形成」が強くなることがある
家賃補助が大きい企業に勤めている場合、持家を買うことで補助がなくなり、結果的に固定費が上がることがあります。
この場合、住まいは賃貸で
- 家賃補助を最大限活用して固定費を抑える
- その分、資産形成(不動産投資)に回す
という設計の方が、家計全体として合理的になるケースもあります。
重要なのは、持家・賃貸の“善悪”ではなく、与えられた制度(家賃補助など)をどう活かすかという視点です。
いま増えている「50年ペアローン」には注意点もある
最近、特に都市部の若年層に増えているのが、50年ローンやペアローンです。
背景には「価格が上がり、従来の期間では買いにくい」という事情があります。
ただ、ここには注意点があります。
長期ローンは多くの場合、変動金利で組まれることも多く、金利が上がると返済額の負担感が増しやすい構造です。
さらに、返済の仕組みによっては、表面上の返済額がすぐには大きく変わらなくても、内訳が変わり、将来の負担が後ろに溜まっていくような形になることもあります。
「売れるから大丈夫」という前提で進めると、想定外の局面で選択肢が狭まる可能性があります。
大きな意思決定ほど、前提が崩れたときにどうなるかまで確認しておくことが大切です。
不動産は“営業”、FPは“セカンドオピニオン”
住まいの購入では、不動産会社の方と話す機会が増えます。
もちろんプロとしての知見は大きい一方で、提案が“販売”に寄るのは自然な構造でもあります。
だからこそ、私たちが提案したいのは、意思決定の前にセカンドオピニオンを持つことです。
- このローン水準で家計は回るのか
- いま買うと、将来の選択肢は増えるのか/減るのか
- 教育費・老後資金・働き方の変化まで含めたときに無理はないか
- 持家・賃貸のどちらが、その人の目的に合っているのか
こうした整理を、商品ではなく“人生の設計”側から行うのがFPの役割だと考えています。
一期コンサルティングが大切にしている判断の順番
私たち一期コンサルティングは、
「どちらが得か」より先に、次の順番で整理します。
- 人生で大切にしたい価値観(どんな暮らしを続けたいか)
- ライフイベント(結婚・出産・転職・介護などの見通し)
- 家計の土台(固定費・保障・制度活用)
- その上で、住まいを持家/賃貸/別の選択肢として検討する
住まいは人生にとって大きなテーマですが、住まいだけが独立して存在するわけではありません。
だからこそ、ライフプランとセットで考えることで、後悔しにくい判断に近づけます。
まとめ:正解は一つではない。だから“判断基準”を持つ
持家か賃貸かに、万人共通の正解はありません。
独身・転勤・家賃補助があるなら賃貸の合理性は高くなりやすい。
家族・学区・住まいの安定を重視するなら持家が合いやすい。
地方の戸建ては出口まで含めて慎重に考えたい。
都市部の長期・ペアローンは前提が崩れた時のリスクも確認したい。
そして最も大切なのは、
「自分はどう生きたいか」から住まいを選ぶということです。
もし、住まいの選択を“損得”だけで決めきれず迷っているなら、
一度ライフプランの視点から整理してみることで、判断がスッと楽になる場面があります。
企業や制度、家計の前提条件まで含めて整えながら、納得のいく選択を一緒に考えていければと思います。
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【監修者情報】

[監修者名] (株)一期コンサルティング ファイナンシャルプランナー 船田勝太
[資格] AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャルプランニング技能士/公的保険アドバイザー/住宅ロ-ンアドバイザー
[経歴]
2014年~東京海上日動火災保険(株)
2017年~(株)一期コンサルティング
[専門分野] ライフプランニング/住宅資金相談/資産運用/保険相談
※ 注意
この記事は、一般的な情報を提供することを目的としており、特定の商品やサービスを推奨するものではありません。
個別の状況については、専門家にご相談ください。



