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初めて手にする自分のお給料──それが「初任給」です。
期待と不安の中、せっかく得たお金をどのように使うかは、その後の人生設計にも大きな影響を与えます。しかし、目の前の支払いに追われてしまう人、使い方に悩んでしまう人も多いのが現実です。
もし、今のお金の専門家である私たちFP(ファイナンシャルプランナー)が新卒に戻ったら、初任給をどう使うのか?
今回は、「賢い初任給の使い方」と、「将来を見据えたライフプラン設計」のポイントを、丁寧に、分かりやすく解説していきます。
1. 初任給のリアルな現実とは?
1-1. 平均初任給と使い道
2024年度の初任給は、多くの企業で「20〜24万円」に設定されています。これだけ見ると一見余裕がありそうですが、現実は違います。
例えば一人暮らしの場合、家賃5万円、光熱費1万円、車関連費用3〜4万円、食費3〜5万円、スマホ・ネット代1万円──これだけでほぼ手取りが消えてしまいます。
つまり、初任給で「余裕資金がたっぷりある」と考えるのは危険です。現実を直視し、堅実なスタートを切ることが何よりも重要です。
1-2. 初任給でやってしまいがちな失敗
・家賃や通信費に無理をする
・高額な自己投資(資格講座など)を勢いで申し込む
・無計画に使い切る
初任給は「好きに使っていい」と思いがちですが、本当に大切なのは使い方の設計です。ここから賢く積み上げることで、数年後、数十年後に大きな差が生まれます。
2. 初任給で考えるべき「現実的な3つの選択肢」
2-1. 一人暮らし?実家での生活?
初任給で一人暮らしをするのは夢かもしれませんが、現実的に生活コストが重くのしかかります。家賃、光熱費、通信費、食費、交通費──これらを全てカバーすると、手元にはほとんどお金が残らないかも。最初から無理に一人暮らしを始めて苦しい生活を送るよりも、まずは実家で暮らし、貯金や自己投資の余力を蓄えるのも選択肢の一つです。実家での生活は、「準備期間」と捉えると良いかもしれません。
2-2. 貯金よりも仕事に没頭し、スキルと経験を磨く
初任給を受け取ったばかりの段階では、貯金にこだわりすぎるよりも、「仕事に打ち込むこと」が大切です。社会人1年目は吸収できることが圧倒的に多い時期。業務スキル、人間関係構築、時間管理能力──すべてが将来の資産になります。今は「とにかく目の前の仕事に全力投球する」ことを最優先に。自己成長こそが、未来のお金を大きく増やす源泉です。
2-3. 無駄な固定費を見直し、必要な出費に絞る
手元資金を賢く管理するためには、まず「無駄な支出を見直す」ことが基本です。特に携帯電話代やサブスクサービスは、見直すだけで毎月数千円〜1万円の節約につながることも。こうした固定費をしっかり管理するだけで、生活の安定感が違います。無駄を省き、必要なことにお金を使う。これが賢い初任給の使い方の第一歩です。
3. 初任給以降の「理想的なお金の使い方設計」
3-1. 理想支出バランス
【一人暮らしの場合】
・家賃:手取りの25〜30%以内
・生活費(食費・光熱費等):30〜35%
・自己投資・趣味:10〜15%
・貯蓄・運用:15〜20%
【実家暮らしの場合】
・家族への入金:5〜10%
・自己投資・趣味:30〜40%
・貯蓄・運用:40〜50%
実家暮らしの場合、無駄遣いせず、”未来のためにお金を動かす力”を育てましょう。
3-2. 目的別お金の使い方・運用
・短期(〜5年):預貯金で安全に備える
・中期(5年~):定期預金・債券・NISAの制度を活用しながら資産形成
・長期(10年以上):iDeCo・企業型DCや長期保険で将来資産作り
いつ、どんな目的でお金を使うかを意識するだけで、浪費を大きく防ぐことができます。
4. 初任給をきっかけにライフプランを考える
4-1. 「どんな人生を送りたいか」を言語化する
初任給は「人生初の大きな区切り」です。
このタイミングで、漠然とでもいいので「将来どうなりたいか」を考え始めましょう。
・5年後に結婚?
・10年後にマイホーム購入?
・20年後に独立?
目標がある人とない人では、毎月の行動と結果に大きな違いが生まれます。
4-2. FPと一緒にライフシミュレーションを
「どんな人生を送りたいか」の言語化ができると、その未来にどれだけお金が必要になるかが見えて来ます。具体的なライフシミュレーションをし、無理なく続く家計設計を考えましょう。
若いうちから人生設計をしておくことで、突発的な出来事にも柔軟に対応できる経済的自立を早期に実現できるのです。
5. まとめ|初任給から未来への第一歩を踏み出そう
初任給は、単なる「収入のスタート」ではありません。それは、これからの人生設計を自ら考え、行動していくための最初の一歩です。
一人暮らしの夢に焦らず、実家で基盤を整える選択肢も大切です。
また、貯金を焦るよりも、社会人1年目は自分自身を磨くことに全力を注ぎましょう。
そして、無駄な支出を見直し、本当に必要なものにお金を使う習慣を、今この瞬間から身につけていきましょう。
目先のお金に振り回されるのではなく、「どんな人生を送りたいか」を見据えて、着実に歩みを進めていくことが何より重要です。
私たちは、皆さんがその一歩を踏み出すお手伝いをしています。
ライフプランに迷ったときは、ぜひお気軽にご相談ください。未来の自分を守るために、今、動き出しましょう。
【監修者情報】
[監修者名] (株)一期コンサルティング ファイナンシャルプランナー 船田勝太
[資格] AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャルプランニング技能士/公的保険アドバイザー/住宅ロ-ンアドバイザー
[経歴]
2014年~東京海上日動火災保険(株)
2017年~(株)一期コンサルティング
[専門分野] ライフプランニング/住宅資金相談/資産運用/保険相談
※ 注意
この記事は、一般的な情報を提供することを目的としており、特定の商品やサービスを推奨するものではありません。
個別の状況については、専門家にご相談ください。