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2024年1月、NISA(少額投資非課税制度)が大幅に改正され、新たな形でスタートしました。この改正は、日本政府が掲げる「貯蓄から投資へ」の方針を加速させる重要な施策として位置づけられています。本記事では、2024年NISA改正のポイントを振り返りながら、投資家にとってどのような影響があったのかを詳しく解説します。さらに、2025年以降も新NISAを賢く活用するための具体的な戦略についても触れていきます。
1. 2024年NISA改正の概要:新制度のポイント
改正の主な内容
2024年のNISA改正では、以下のような大幅な変更が実施されました:
●年間非課税投資枠の拡大
・成長投資枠:240万円
・つみたて投資枠:120万円
・合計:360万円
・非課税期間は無期限に変更され、長期運用の魅力が増しました。
●成長投資枠とつみたて投資枠の同時利用
両枠を組み合わせることで、リスク分散が可能に。
●個人の投資環境の整備
少額から始めやすく、初心者でも利用しやすい制度設計。
この改正により、資産形成を支援する環境が整い、多くの個人投資家が恩恵を受けています。
2. 利用者の実態調査と成果
調査概要
以下は、2024年NISA利用者の実態調査結果の概要です。
・実施期間:2024年11月15日(金)~30日(土)
・調査対象:全国の18~74歳の個人
(性別×年代×地域別の構成比率を原則割り付け)
・回答者数:5,075人(男性49.8%、女性50.2%)
・調査方法:インターネット調査
・調査会社:日経リサーチ
実際の新NISA利用状況と成果
2024年の新NISA制度開始から約1年が経過し、実際にどの程度の人が利用しているのか、またその成果はどうだったのかを見てみましょう。調査結果によると、新NISAを利用している回答者は全体の31.0%に上ります。特に注目すべきは、成長投資枠とつみたて投資枠の両方を活用している人が全体の12.6%と最多である点です。これにより、多くの人が新制度の特徴である「成長枠と積立枠の併用」という戦略を積極的に取り入れていることがわかります。
また、運用損益がプラスだった人は70.7%と、高い成功率を示しました。その中でも「プラス10%以上30%未満」の成果を挙げた人が32.4%と最も多く、次いで「プラス10%未満」が22.3%となっています。これは、新NISAが非課税の恩恵を受けながら投資効率を高める仕組みであることを実証しており、特に国内個別株式や全世界株式型インデックス投資信託といった選択が成果を後押ししたと考えられます。
一方で、投資の損失を経験した人も一定数存在しますが、これは多くの場合、短期的な市場変動に対する未熟な対応が原因とされています。特に初心者層は、市場クラッシュのような急激な変動に直面すると、感情的な決断で投資を中断してしまうケースも少なくありません。
3. 金融知識と投資成功率の関係:リテラシーの重要性
金融リテラシーが新NISAの利用率や成果に大きな影響を与えていることも明らかになりました。調査によれば、**金融知識が豊富な層(Aレベル)の利用率は62.0%**と高い一方で、知識が不足している層(Dレベル)は13.7%にとどまっています。この差は、適切な情報収集能力や長期的な視点の有無によるものと考えられます。
金融リテラシーが成功を分ける理由
1.適切な情報収集 金融知識が豊富な投資家は、周囲のノイズや流行に流されることなく、自身で情報を収集・分析する力を持っています。例えば、SNSやYouTubeで話題の商品に安易に飛びつくのではなく、自分の投資目的やリスク許容度に基づいて商品を選定します。
2.短期的な市場変動への耐性 2024年8月に発生した市場クラッシュは、多くの初心者投資家にとって大きな試練でした。この時点で投資を辞めてしまった人がいる一方、金融知識が豊富な投資家は長期的な視点を持ち続け、冷静に投資を継続した結果、後の市場回復で成果を上げています。
学びとしての重要性
新NISAを活用する上で、金融知識の有無が投資成果を左右する要因であることは明白です。個々の投資家が成功を収めるには、自己学習や専門家からのアドバイスを積極的に取り入れることが求められます。金融教育を受ける機会を増やし、長期的な資産形成のための知識を習得することが、今後の成功のカギとなるでしょう。
4. 新NISAを賢く利用するための基本戦略
新NISAを成功に導くには、自分自身の生活スタイルや目標に応じた戦略を練ることが重要です。
基本戦略
1.自己分析を最優先に
他人に流されることなく、自分のリスク許容度やライフステージを考慮して運用方針を決めることが大切です。
2.投資商品を慎重に選定
YouTubeや周りの意見に流され、「とりあえず」という理由で選んでしまうと、自分の投資目的やリスク許容度に合わない可能性があります。長期目線で商品を選ぶ際には、自身の生活スタイルや資産形成の目標に基づき、リスク分散を考えた適切なポートフォリオを構築することが重要です。特に、投資初心者は一つの商品に偏らず、バランス型投資や個別株式も含めた多角的な視点で商品を選ぶようにしましょう。
3.リスクとリターンのバランス
成長投資枠ではリターンを重視した個別株投資が可能ですが、リスクが高い点も考慮する必要があります。
4.長期的な目線での運用
市場の乱高下に左右されず、時間を味方につけた資産形成を意識しましょう。
5. まとめ:NISA改正がもたらす今後の可能性
2024年NISA改正は、投資家にとって大きなメリットをもたらしました。一方で、金融知識の不足や市場変動に対する不安から、制度を十分に活用できていない人も多いのが現状です。
私たちは、新NISAを最大限活用するためのサポートを提供しています。金融初心者から経験者まで、一人ひとりに合わせたプランを提案し、長期的な資産形成を支援します。2025年も新NISAを活用して、より良い資産形成の未来を築きましょう。
【監修者情報】
[監修者名] (株)一期コンサルティング ファイナンシャルプランナー 船田勝太
[資格] AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャルプランニング技能士/公的保険アドバイザー/住宅ロ-ンアドバイザー
[経歴]
2014年~東京海上日動火災保険(株)
2017年~(株)一期コンサルティング
[専門分野] ライフプランニング/住宅資金相談/資産運用/保険相談
※ 注意
この記事は、一般的な情報を提供することを目的としており、特定の商品やサービスを推奨するものではありません。
個別の状況については、専門家にご相談ください。