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2025.06.18
住宅ローンにボーナス払いはアリ?メリットやデメリットをFPが解説!
住宅ローンにボーナス払いはアリ?メリットやデメリットをFPが解説!

住宅ローンを検討する中で、「ボーナス返済を併用すれば月々の返済が楽になる」という説明を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。確かに一時的には負担を抑えられるかもしれませんが、私たちFPの立場から見ると、その考え方には大きな落とし穴があります。

特に近年は、雇用の流動性や業績連動型の賞与体系など、”ボーナスありき”のライフプラン設計が通用しないケースが増えています。本記事では、ボーナス払いの仕組みや表面的なメリットだけでなく、将来を見据えたリスクと、その上での最適な住宅ローン設計について詳しく解説します。

 1. ボーナス払いとは?住宅ローンでの位置づけと仕組み

 1-1. ボーナス払いの基本構造

住宅ローンにおけるボーナス払いとは、年に1〜2回の賞与時期に、通常の月々の返済とは別にまとまった金額を支払う仕組みです。多くの金融機関では、借入額のうち最大40〜50%までをボーナス払いに設定できます。

例えば、3,000万円の住宅ローンでボーナス払い比率を40%に設定すると、1,200万円を年2回のボーナス月に分けて返済することになります。これにより、毎月の返済額を大幅に軽減することが可能です。

1-2. ボーナス返済月と勤務先の支給時期のズレに注意

ボーナス払いには注意点もあります。金融機関が設定する返済月(例:1月・7月)が、自分の勤務先の賞与支給月とずれていた場合、入金前に返済という状況に陥る可能性があります。あらかじめタイミングを確認し、現実的に支払えるかどうかを慎重に検討する必要があります。

2. 一見魅力的に見えるが…「ボーナス払いの限定的なメリット」

2-1. 月々の返済負担は軽減できるが、それは本質的な解決ではない

ボーナス払いを設定すると、確かに毎月の返済額を一時的に減らすことができます。しかしその一方で、「今の生活を楽にするために将来のリスクを背負う」という構造になっている点を見逃してはいけません。

月々の支出に余裕ができれば、生活費の圧迫感を減らせるかもしれませんが、その余裕は確実に得られる保証のない収入に依存して成り立っています。特に、子育て初期や収入が安定していない家庭にとって、ボーナス払いはリスク回避どころか、将来的な負担増の火種になりかねません。

 2-2. 返済期間の短縮に繋がるケースもあるが…

たしかに、ボーナス返済額を多めに設定することで元本の減少スピードが上がり、結果的に利息の総額を減らせる可能性もあります。ただし、これはボーナスが安定的に支給されることが前提条件です。

もし支給額が下がった場合や不支給となった場合、返済計画は簡単に崩壊します。金融機関によってはボーナス返済額の変更が認められないこともあり、支払いが滞るリスクを増やす結果になります。

 2-3. 初期費用に余裕が出る?でも、それは借金の先送り

ボーナス払いを使うことで月々の負担が軽くなり、引っ越し費用や家具家電の購入に充てる資金が生まれるという声もあります。確かにこれは表面的には利点のように思えますが、冷静に考えれば毎月の返済を減らすために将来の負債を積み上げているだけにすぎません。

結果として、その余裕は長期にわたり不安定な返済計画に縛られる原因になり、将来のライフイベントに使えるはずだった資金を奪っていく可能性があります。

3. FPが警鐘を鳴らす「ボーナス払いの落とし穴」

3-1. ボーナスは“当たり前”ではない

一期コンサルティングでは、「ボーナス払いは極力避けるべき」と考えています。理由は明確です。ボーナスは企業の業績や個人の評価によって大きく変動し、必ずしも将来にわたって安定して受け取れるものではありません。

特に今後、キャリアの変化や転職、副業などの多様化が進む中で、ボーナス前提の住宅ローンはリスクが高すぎます。

3-2. 教育資金や老後資金とのバッティング

住宅購入時には気づきにくいのが、「将来の大型出費」との兼ね合いです。子どもの進学や留学、親の介護、自身の老後資金など、将来的に大きな資金が必要になるイベントが多数あります。

ボーナスを住宅ローン返済に充ててしまっていると、それらに対応できる余力がなくなり、教育や進路の選択肢を制限してしまうリスクすらあるのです。

3-3. 人生の自由度が下がる

住宅ローンの返済にボーナスを固定してしまうと、家計全体の自由度が大きく損なわれます。「旅行に行く」「家族に何かをプレゼントする」「自己投資をする」といった、生活を豊かにするための支出が真っ先に制限されるだけでなく、想定外の出費(冠婚葬祭、車の修理、医療費など)への対応力も大きく下がります。

本来ボーナスは、生活の質を高めたり、将来に備えたりする“戦略的な資金”として柔軟に活用できる貴重なリソースです。これを住宅ローンの返済にあててしまうことで、ライフプランの再構築が難しくなり、精神的な余裕や長期的な視野も奪われていくリスクがあります。

 4. ボーナスに頼らず「月収ベース」で設計すべき理由

私たちが推奨するのは、「毎月の安定収入だけで返済できる住宅ローン設計」です。これは、ボーナスの有無に左右されず、どんな状況下でも返済が継続できる体制を作ることが目的です。

ボーナスは、あればラッキー程度にとらえ、教育費、レジャー費、老後資金、あるいは繰上返済など、柔軟に使える資金としてキープしておく方が、人生の選択肢は広がります。

住宅ローンはあくまで「生活の土台」であり、それが重荷になってしまっては本末転倒です。無理のない返済計画こそが、長期的な生活の安定に繋がります。

5. それでもボーナスを活かしたい場合の選択肢

どうしても「ボーナスを有効活用したい」という方には、「繰上返済」という選択肢をおすすめします。繰上返済であれば、ボーナスが支給されたタイミングで自分の意思で元本を減らすことができ、返済期間の短縮や総利息額の削減が可能です。

さらに、繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があり、自分のライフスタイルに合わせて使い分けられます。

なお、金融機関によっては繰上返済に手数料がかかるケースもありますので、事前に条件を確認することが大切です。

6. すでにボーナス払いで契約してしまった人へ

すでにボーナス払い併用型の住宅ローンを契約してしまった方も、改善の余地はあります。具体的には、住宅ローンの借り換えです。

現在では、より低金利でボーナス返済なしのプランに乗り換えられる金融機関も多く、総返済額を減らせる可能性もあります。ただし、借り換えには手数料が発生するため、金利差と費用のバランスを見極めることが重要です。

一期コンサルティングでは、こうしたケースについてもセカンドオピニオンの立場で相談を受け付けております。「今からでも見直せるのか?」と悩む前に、一度ご相談ください。

7. 住宅ローン設計における「セカンドオピニオン」の重要性

住宅会社の提案や銀行のプランを参考にしながら、なんとなくの流れで住宅ローンを組まれる方も少なくありません。

・しかし、住宅ローンは30年、40年と続く長期契約です。今だけでなく、10年後、20年後の家計やライフプランまで見通して設計する必要があります。

一期コンサルティングでは、住宅購入者に対して「セカンドオピニオン」として中立的な立場でライフプランを設計し、

・今の年収で本当に返済が続けられるか

・子どもの教育費とどう両立させるか

・老後資金や保険とのバランスは取れているか など、人生全体を見据えた住宅ローン設計を提供しています。

まとめ:住宅ローンのボーナス払い、慎重な判断を

ボーナス払いは一時的なメリットがあるように見えますが、長期的な視点で見るとリスクが多く、将来のライフプランを狭めてしまう可能性があります。

私たちは、ボーナスをあてにせず、毎月の収入の中で無理なく返済できる住宅ローン設計を強く推奨しています。すでに契約済みの方も、これから検討する方も、ぜひ一度FPによるセカンドオピニオンを活用し、人生全体を見据えた資金計画を一緒に考えてみませんか?

📩 オンライン相談はこちらから!

https://ichigo-consulting.co.jp/lifeplanning/

 

【監修者情報】

[監修者名] (株)一期コンサルティング ファイナンシャルプランナー 廣瀬秀人

[資格] AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャルプランニング技能士/公的保険アドバイザー/住宅ロ-ンアドバイザー/キッズマネースクール認定講師

[経歴]

2005年~(株)ビジネス情報社

2008年~ジブラルタ生命保険(株)

2012年~(株)一期コンサルティング

[専門分野] ライフプランニング/教育資金相談/老後資金相談/住宅資金相談/資産運用/保険相談/

 

※ 注意
この記事は、一般的な情報を提供することを目的としており、特定の商品やサービスを推奨するものではありません。
個別の状況については、専門家にご相談ください。