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2025.04.03
年収の壁は働き方や生活にどんな影響がある?160万円になったらどうなるのかをFPが解説
年収の壁は働き方や生活にどんな影響がある?160万円になったらどうなるのかをFPが解説

「年収の壁」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。パート・アルバイトで働く方の中には、「103万円の壁を超えると税金がかかる」「130万円の壁を超えると社会保険に加入しなければならない」といった理由で、働く時間を調整している方も多くいます。

しかし、2025年の税制改正関連法案として、「103万円の壁」を見直し、所得制限を設けたうえで「最大160万円に引き上げる」案が参議院で審議入りしました(2025年3月15日時点)。この改正案が可決されれば、扶養控除の恩恵を受けながら働ける年収の範囲が広がり、多くの人の働き方に変化をもたらす可能性があります。

では、この「160万円の壁」によって、具体的にどのような影響があるのでしょうか? 本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点から、「年収の壁」が家計や働き方に及ぼす影響、今後のライフプランの考え方について詳しく解説します。

1. そもそも「年収の壁」とは?

「年収の壁」とは、一定の年収を超えることで税負担や社会保険料が発生し、手取り収入が減少する境界線のことを指します。特に、パート・アルバイトで働く方が気にする代表的な年収の壁は以下の3つです。

① 103万円の壁(所得税の発生)

●年収103万円以下なら所得税がかからず、配偶者の扶養内で働くことができる。

●103万円を超えると、所得税の課税対象となり、手取り収入が減る。

●しかし、2025年の税制改正案が可決されれば、所得制限を設けたうえで「最大160万円まで非課税枠が引き上げられる」可能性がある。

② 130万円の壁(社会保険加入義務)

●年収130万円以上になると、配偶者の扶養から外れ、健康保険や厚生年金への加入が義務化される。

●これにより社会保険料の負担が発生し、手取り収入が減少する可能性がある。

③ 150万円・160万円の壁(配偶者控除の影響)

●配偶者控除を受けるには「年収150万円未満」が条件とされている。

●160万円の壁が実現すれば、より長く働きながら税制メリットを享受できる可能性がある。

2. 2025年の税制改正で「103万円の壁」はどうなる?

現在、国会では「103万円の壁」を見直し、所得制限を設けたうえで「非課税枠を最大160万円に引き上げる」法案が審議されています。この改正案が可決されると、以下のような変化が生じると考えられます。

 ① 年収160万円まで所得税がかからなくなる

●これまで年収103万円を超えると所得税が発生していたが、改正後は最大160万円まで非課税となる可能性がある。

●これにより、「もっと働きたいけど税金が気になる」という人の労働時間の調整が緩和される。

② 働く時間を増やしやすくなる

●これまでは「年収103万円以内に抑えるために、シフトを減らす」といったケースが多かった。

●160万円の壁が実現すれば、就業時間を増やしても税負担の影響を受けにくくなるため、労働意欲の向上が期待される。

③ ただし、130万円の壁(社会保険の加入義務)はそのまま

●年収130万円以上になると、扶養を外れ、自分で社会保険に加入する必要がある。

●社会保険料の負担が発生するため、手取り収入を増やすためには130万円以上稼ぐメリットが必要になる。

3. 「160万円の壁」の影響|これからの働き方の選択肢

「103万円の壁が160万円に引き上げられる」ことで、働き方の選択肢が広がります。ここで重要なのは、「年収の壁を気にして働くべきか、それとも長期的な視点でキャリアを考えるべきか」という点です。

選択肢①:年収130万円未満に抑えて扶養内で働く

●扶養の範囲内で働くメリット

・配偶者控除を受けられる

・社会保険料の負担がないため、手取り額が増えやすい

●103万円の壁が160万円に引き上げられれば、130万円ギリギリまで働くのが最も有利になる可能性がある。

選択肢②:160万円を超えてフルタイム勤務を検討

●130万円を超えて働くなら、厚生年金や社会保険への加入を前提にフルタイム勤務を検討するのも一案。

●厚生年金に加入することで、将来の年金額を増やせるメリットがある。

●ライフプランを考えながら、長期的に有利な働き方を選ぶことが重要。

4. FPの視点|年収の壁を超えて、自分に合った働き方を選ぼう

年収の壁を気にしすぎて、キャリアの成長や働くやりがいを犠牲にしてしまうのは本当に正しい選択なのか?
この問いを、自分自身に投げかけてみましょう。

① 「好きなことで働く」を考える

●「103万円の壁を超えるからシフトを減らす」という考え方よりも、「自分がどう働きたいか」を優先することが理想的。

●年収を気にしすぎず、自分のやりがいや成長を考えた働き方を選択することが大切。

② 将来の資産形成を考える

●扶養に入っていることで、老後の年金額が少なくなる可能性がある。

●厚生年金に加入することで、将来的に受け取る年金額を増やせる。

5. まとめ|「年収の壁」に縛られず、賢く働こう

2025年の税制改正案では、「103万円の壁」を見直し、所得制限を設けたうえで非課税枠を160万円に引き上げることが審議されています。ただし、130万円の壁(社会保険の加入)は変わらないため、長期的な視点で、自分にとって最適な働き方を選ぶことが重要です

「年収の壁」に縛られるのではなく、賢く働くことで、充実したキャリアと生活を手に入れましょう。

 

【監修者情報】

[監修者名] (株)一期コンサルティング ファイナンシャルプランナー 船田勝太

[資格] AFP(日本FP協会認定)/2級ファイナンシャルプランニング技能士/公的保険アドバイザー/住宅ロ-ンアドバイザー

[経歴]

2014年~東京海上日動火災保険(株)

2017年~(株)一期コンサルティング

[専門分野] ライフプランニング/住宅資金相談/資産運用/保険相談

 

※ 注意
この記事は、一般的な情報を提供することを目的としており、特定の商品やサービスを推奨するものではありません。
個別の状況については、専門家にご相談ください。